数式の入力


2004年9月22日
2010年2月28日 修正
富田倫生



【数式処理の混乱の要因】

▼「縦組み中、縦組みで処理されているものは、2バイトで。縦組み中、横組みで処理されているものは、1バイトで。」という、ラテン文字の処理パターンに準じて、処理したくなる。
▼そうすれば、縦中横といった例外的なものをのぞいては、組み方向に対する注記を行わなくてすむだろうから。(2バイトのものは、縦組み。1バイトのものは、横組みと受け取ってもらえるだろう。)
▼ところが、1バイト文字には、「+」「-」「=」は合っても、「掛ける」に対応するものは「*」、「割る」に対応するものは「/」しかない。
▼「×」「÷」、さらには「≒」「≠」「≦」「≧」を含む演算記号の一式は、JIS X 0208では、2バイト文字にしかそろっていない。
▼そのため、数式の入力に対してしばしば生じる1バイトで処理したいという欲求と、演算記号は2バイトにしかそろっていないという事実がぶつかって、処理方針に迷いが生じる。

では、どうするかということで、試みの私案を示してみます。

【数式が縦組み中で、縦組みになっている場合】

▼数字は、一桁が全角。二桁以上が半角。(マニュアルが示している、数字の処理の基本方針にそって。)
 二桁以上の数字に対しては、必要に応じて縦中横の注記([#「…」は縦中横])を。
▼ラテン文字は、一桁が全角。二桁以上が半角。
 二桁以上のラテン文字に対しては、必要に応じて縦中横の注記([#「…」は縦中横])を。
▼数字とラテン文字による文字列は、半角。
 二桁以上の、数字とラテン文字による文字列に対しては、必要に応じて縦中横の注記([#「…」は縦中横])を。
▼ギリシア文字に関しては、全角しかないので、全角。
▼演算記号は、全角を使用。
▼和文と接するところに、入力規則をもって半角アキを入れることはしない。ただし、底本が意図的にアキを入れていると思われるところには、相当と思われる個数分、半角アキ、もしくは全角アキを入れる。(←ちょっと不明確になるかな?)
▼数式と数式の接するところには、底本のアキに相当すると思われる個数分、半角アキ、もしくは全角アキを入れる。(←ちょっと不明確になるかな?)


【数式が縦組み中で、横組みになっている場合】

▼横組みになっている数式の先頭に[#ここから横組み]と、末尾に[#ここで横組み終わり]と入れる。(「横書き」よりも、「横組み」がより適当では。)
▼数字は、一桁が全角。二桁以上が半角。
▼ラテン文字は、一桁が全角。二桁以上が半角。
▼数字とラテン文字による文字列は、半角。
▼ギリシア文字に関しては、全角しかないので、全角。
▼演算記号は、全角を使用。
▼和文と接するところに、入力規則をもって半角アキを入れることはしない。ただし、底本が意図的にアキを入れていると思われるところには、相当と思われる個数分、半角アキ、もしくは全角アキを入れる。(←ちょっと不明確になるかな?)
▼和文と横組みの数式の接するところにアキを入れる場合は、「和文」「アキ」「横組み注記」「数式」「横組み注記」「アキ」「和文」の順とする。
▼数式と数式の接するところには、底本のアキに相当すると思われる個数分、半角アキ、もしくは全角アキを入れる。(←ちょっと不明確になるかな?)


【分数】

▼0213にある「分数」(1/2、1/3、2/3、1/4、3/4、1/5)に関しては、外字注記の形でこれを使用する。
▼これ以外のものに関しては、0208にある数字、ラテン文字、ギリシア文字、記号を用いて表す。
▼分子と分母を分ける記号には、全角の「/」を用いる。(演算記号に準じて。)
▼数字は、一桁が全角。二桁以上が半角。
▼ラテン文字は、一桁が全角。二桁以上が半角。
▼数字とラテン文字による文字列は、半角。
▼ギリシア文字に関しては、全角しかないので、全角。
▼分数である旨の注記を行う。(例:b/2a[#「b/2a」は分数])
▼縦組み中で横組みになっている場合は、その旨の注記を行う。(例:[#ここから横組み]b/2a[#「b/2a」は分数][#ここで横組み終わり])
▼和文と接するところに、入力規則をもって半角アキを入れることはしない。ただし、底本が意図的にアキを入れていると思われるところには、相当と思われる個数分、半角アキ、もしくは全角アキを入れる。(←ちょっと不明確になるかな?)
▼和文と横組みの数式の接するところにアキを入れる場合は、「和文」「アキ」「横組み注記」「分数」「分数注記」「横組み注記」「アキ」「和文」の順とする。
▼分数と分数の接するところには、底本のアキに相当すると思われる個数分、半角アキ、もしくは全角アキを入れる。(←ちょっと不明確になるかな?)

※分数に関しては、文字列全体で一つの数を表すと考えて、「/」、数字、ラテン文字すべて半角のものを用いるという考え方も、成り立ちそうに思う。ただ、少々理屈っぽくなり過ぎるかも知れない。それと、ギリシア文字は全角しか使えない。


【指数】

▼指数はその直後に、指数である旨を注記する。

例:y=x2[#「2」は指数]

マニュアルの規定にそって、次のように処理する。

例:y=x2[#「2」は上付き小文字]

マニュアルでは、「22[#2つめの「2」は上付き小文字] 」と例示しているが、これは「22[#「2」は上付き小文字] 」とする。

【その他】

▼以上の処理パターンにあてはまらないものは、必要に応じて入力者注を用いて処理する。

例:P=s1[#「1」は下付き小文字]a1[#「1」は下付き小文字]b1[#「1」は下付き小文字]ν+s2[#「2」は下付き小文字]a2[#「2」は下付き小文字]b2[#「2」は下付き小文字]ν2[#「2」は指数]+s3[#「3」は下付き小文字]a3[#「3」は下付き小文字]b3[#「3」は下付き小文字]ν3[#「3」は指数]+……


【新美南吉「海から帰る日の処理方針】

底本は、以下のように組んである。

上の方針を適用してみると、こんな形かと。

 [#ここから横組み]1+2=3 A=B ナルトキ A+C=B+C 2>1[#ここで横組み終わり]
 私達が數學の問題を解く時、若し上のような公理が存しなかつたら、問題がとけるだらうか。私達はいつも無意識の裡にそれ等を眞として數學のプロブレムを取扱つて來た。が若し一度 [#ここから横組み]1+2=3 2>1[#ここで横組み終わり] なる事に疑をもつたらどんな簡單な問題も解く事が出來ない。[#ここから横組み]2>1[#ここで横組み終わり] を眞としてかゝればこそどんな複雜なものも解けるのだ。では、[#ここから横組み]1+2=3 2>1[#ここで横組み終わり] とは何か。私達はこれを「信仰」と云ふ詞に解釋しよう。一點の疑もいだかない信仰と云はう。[#ここから横組み]1+2=3[#ここで横組み終わり] が數學の問題に解決を與へる樣に、信仰は人生の問題に解決を與へるのだ。